首都直下地震の到来の危険性が語られ続けるなか、地震保険の必要性をうすうす感じている都会住まいの方も、さぞ多いのではないでしょうか。

地震保険制度の概要(財務省)


いや、都市圏に限らず、「地震大国ニッポン」においては、甚大な被害をもたらす大型地震がこの十数年で場所を選ばず起きていることは、ご存知のとおりです。

2011年3月の東日本大震災に至っては、東北地方の太平洋沿岸部を中心に、回復に十年単位の月日を要するほどの甚大な人的・社会的損害を被ってしまいました。

さらに月日をさかのぼれば、1995年1月の阪神・淡路大震災、2003年9月の北海道十勝沖地震、そして最近では2004年10月の新潟県中越地震が、記憶に新しいところですね。

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住宅ローンの支払い途中で大地震によって自宅が倒壊したり、あるいは地震による火災に巻き込まれ焼失してしまった場合などは、新たな住まいの費用を手当てすることに加え、失った家についても今までどおりローンの支払いを続けなくてはならないという、いわゆる「支払いの二重化」「二重ローン問題を抱えるリスクがあります。


万一の天災による経済的負担増のリスクに対する不安もあってか、地震保険の契約件数・世帯加入率は年々右肩上がり、上昇の一途をたどっています。

損害保険料率算出機構によると、2012年度末の地震保険の契約件数は約1,505万件、世帯加入率は27.1%、火災保険のうち地震保険を付帯した割合(付帯率)は56.5%に達しています。


阪神・淡路大震災が起きる前の1994年の契約件数が約397万件ですから、契約件数ベースでなんと379.2%も増加しています。


しかしそれでも、地震保険についての世間的な認知度は火災保険に比べていまひとつであり、商品のポイントをきちんと理解していない方もまだまだ多いようです。

本サイトでは「地震保険の契約前に、これだけは知っておきたい」というポイントをピックアップして、簡潔に解説します。


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地震保険とは~火災保険とのセット契約がルール



地震保険」とは、「地震・噴火・津波を原因とする、火災・損壊・埋没・流出による損害を補償する保険」を指します。

1966年に制定された「地震保険に関する法律」に基づいてできた、いわば地震災害専用の損害保険です。


そもそも「火災保険」では、地震・噴火・津波を原因としておこる損害は、原則として補償されません。

ここで注意しておきたいのは、都会で地震が起きた場合、もっとも警戒すべき「地震によって引き起こされる(あるいは地震によって拡大した)火災」は、たとえ火災であっても、原則として「火災保険による補償の対象外とされている」ことです。

しかも、地震発生直後の火災でなく、たとえば地震発生から半日程度たってからの、延焼に巻き込まれての損害も、基本的には対象外となってしまうのです。


よって、地震の発生によって起こりうる大規模火災に自宅が巻き込まれて起きる損害に備えるためには、地震保険に加入する必要があります。


ただし地震保険は、地震保険単独では加入できず、「必ず火災保険とセットで」加入しなくてはなりません。

いま火災保険だけに加入されている方が、あとからその火災保険に地震保険を追加する(つまり、火災保険の契約期間の中途で地震保険に加入する)のは、もちろんOKです。


これがいわば”地震保険加入のためのルール”ですが、2006年4月から施行された「少額短期保険業制度」にもとづいた「SBIリスタ少額短期保険」が販売する「SBIいきいき少短の地震の保険」という、新タイプの個人向け保険もあります。

SBIいきいき少短の地震の保険」

(ただし地震に関わる保険であっても、住居・家財を補償対象とする本来の地震保険と「保険の目的」が異なる、いわば別タイプの保険であることには注意する必要があります)。


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地震保険~補償の対象と補償範囲



地震保険の補償対象は、「"居住用"の建物」と「家財(生活用動産)」です。

したがって「住居を兼用していない事務所」は地震保険の対象外になりますし、貴金属や骨とう品・通貨や株券・自動車なども生活用動産ではないとされ、地震保険では同じく補償対象外となります。


かりに支払の対象となった場合であっても、注意すべき点はまだいくつかあります。

地震保険では、建物については「火災保険の保険金額の30~50%の範囲内」で保険金額(支払われる保険金の限度)を設定することになっています。

つまり「最大限カバーしたとしても、地震保険から得られる補償額は、火災保険で成される補償の50%まで」ということになります。


そして具体的金額のリミットとしては、「建物5,000万円・家財1,000万円」が、支払いの上限となっています。

これらは、地震は大規模な被害発生が不可避であることから、支払う保険会社側の財務体力も考えに入れて設定された基準です。

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さらに「支払い基準」なるものも、存在しています。

地震の結果、住居や家財が全損したのかそれとも半損・一部損にとどまるのかでも、支払われる保険金は変わってきます。

全損の場合は、「時価を限度に契約した保険金額の100%が支払われますが、半損の場合は50%一部損の場合は5%の支払となります。

それも、火災保険では「再調達価額」で取り扱ってくれるのに対し、地震保険では「時価」による取扱いとなる点においても、違いがあります。ここでいう「時価」「再調達価額」は、いずれも保険用語です。


「再調達価額」か「時価」かで、支払われる金額にも違いが生じます。

再調達価額」とは、保険の対象物を完全な新品として再度調達するのに必要な金額です。

これに対して「時価」とは、たとえば住居の場合、「再調達価額」から住んでいた年数分による損耗分・減価分をマイナスした金額になります。

つまり金額的には、通常は「再調達価額」>「時価」となるわけです。


それにしても、地震保険をせっかく付けたとしても、支払われる保険金が最高でも火災保険で成される補償の半分どまりでは、無いよりはもちろんよいものの、残り半分をどうしたらよいかで困ってしまうことでしょう。

最近は、地震保険にその30~50%の補償をさらに上乗せする「特約」を付けることができる(したがって、火災保険の80~100%の補償までグレードアップできる)保険商品も、まだごく一部ではありますが、登場してきています。

損保ジャパン 地震火災特約(地震火災30プラン・地震火災50プラン)


もちろん特約を追加するぶん、契約者が支払う保険料もアップしますが、万一の備えとして検討の余地はあるでしょう。


最後に、一戸建でなく分譲マンションにお住まいの方は、「共用部分の地震保険契約の有無」につき確認が必要です。

修繕管理費の高騰が敬遠されることから火災保険の付保に留まり、管理組合が管理費から地震保険料を徴収し地震保険まで加入しているケースは、それほど多くないのが現状です。


共用部分が地震保険に未加入の場合は、たとえ自分(専有部分)だけ加入していても、たとえばエレベーターなどの共用部分の地震損害についての保険金が支払われないことになります。

管理組合規約記載の保険契約の状況を、一度確認しておきたいものです。


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地震保険~どの保険会社で契約しても同一の理由


ちなみに上記のような特約を除けば、地震保険の商品内容は、どの保険会社で契約しても同一となります。

いったん大規模な地震が発生した場合、想定される損害も広範囲となり、被害金額として莫大なものとなることは、想像に難くありません。


このため、かりに大規模地震がおきた場合は、保険会社だけで保険金をまかないきれないのではないか?という不安がでてきます。


これをカバーするため、地震保険に限って保険会社が政府とリスクを半分ずつシェアするかたちとなっているのです。

一回の地震について、750億円までは保険会社の全額負担となりますが、それを超えた部分の責任の一定割合が政府に「再保険」される仕組みになっています。

地震保険は、いわば「半官半民」の保険であり、そのために保険会社間でも保険料の差が生じない仕組みとなっているのです。


これまでみてきたように、地震保険に入っていたとしても、地震による損害であればすべて補償されるわけでもありませんし、また補償対象となっていても、必ずしも全額が補償されるわけでもありません。


したがって、地震保険を契約する前には「万一の際には、何が保険金支払いの対象となり、また何が対象外なのかをきちんと把握しておくこと」が、非常に大切になります。

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地震保険 保険料と割引制度



上記で、「地震保険はどの保険会社で契約しても補償内容は同一」と言いましたが、地震保険の契約者が支払う保険料については、「保険の対象となる住居・家財が、47都道府県のどの地域にあるかでも、変わってきます。


つまり、地震保険の保険料を設定するときは、その保険対象が何であるか(住宅の構造や建物の評価額など)に加えて、どこに所在するのかによっても、保険料を決めるための料率が異なってくるわけです。

これは、この日本における地震の発生リスクの大小が異なるとして、1等地~4等地まで分類されており、それが保険料の差として反映されてくるためです。


地震保険においては、最長5年までの一括払いが可能となっています。

その場合、保険料算出に「長期係数」が適用されるため、長期契約をすると保険料が安くなります。

地震保険を長期契約にすることは、保険料を節約するための方法のひとつとなるわけです。


保険料を安くするための割引制度も用意されています。

対象住宅の建築年が昭和56年6月1日以降であったり、対象住宅が「免震建築物」である場合などに、10~30%の割引が適用されます。


地震保険においては、「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」の4種類の割引制度が設けられていますので、その詳しい内容については、損害保険会社(および損害保険代理店)に相談してみてください。


なお東日本大震災を踏まえた地震発生リスクの見直しを受け、始期が平成26年7月1日以降の契約から、地震保険の保険料が値上げされました。新規契約のみならず加入済の契約も、更改時からは値上げとなります。

都道府県ごと及び建物の構造ごとに、保険料の増減額は異なります。当然ながら地震発生リスクの高い地域・耐震性の低い住宅のほうが、値上げ幅が大きくなる傾向にあります。


保険料の値上げ幅は全国平均では15.5%ですが、都市圏および東日本大震災で被災した東北地方の県は約30%増と、値上げ率が大きくなります。

比較的危険性が少ないと見込まれる山梨・長野・岡山県などは逆に、8~12%程度の減少となります。


1年契約ではなく長期契約(5年)にすると、保険料は4.45年分(1年で11%、計55%割引)で済みますので、家計防衛の観点からは検討したいところです。

なおこの値上げに伴い、上述の「対象住宅が免震建築物である場合の割引」も、現行の最大30%から「最大50%」に引き上げられることになりました。



地震保険料は、平成28年秋に再度値上げされる見通しです(全国平均で19%アップ予定)。


この時の値上げ幅を抑えるべく、現行の支払い基準における「全損(100%支払)」「半損(50%支払)」「一部損(5%支払)」の3つの損害区分を、「全損(100%)」「大半損(60%)」「小半損(30%)」「一部損(5%)」の4区分にすることが、あわせて検討されています。


現在、値上げを段階的に行うか等も検討中とのことですが、いずれにせよ地震保険料の近い将来の再値上げはほぼ確実ですので、加入側としても決断を急ぐほうがよさそうです。


したがって住宅の耐震性能を低いままにしておくと、先々の地震保険料負担がさらに増すため、特に新耐震基準の施行前(1981年6月1日以前)に建築された住宅は、耐震補強工事を検討したいところです。

「地震保険料控除」の新設


最後に、確定申告やサラリーマンの年末調整時における控除項目として、「地震保険料控除」が2007年1月から新設されていることに注意しておきましょう。


所得税地震保険料の全額(最高50,000円)、個人住民税地震保険料の2分の1(最高25,000円)を限度として、その年の契約者の所得金額から控除されます(これに伴い、これまでの「損害保険料控除」は、一部の経過措置対象契約を除きすでに廃止されています)。

地震保険料控除(所得税)(国税庁)

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